北京見聞録

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続・京劇若手俳優さん→名前がわかった^^

       あけましておめでとうございます


      扇を持つ指が色っぽい。    京劇の演目「貴妃酔酒」
   この楊貴妃を演じるのは、甘粛省出身の叶晋材(ye jincai イェ・チンツァイ)

     

 以前このblogでとりあげた名前が不明の京劇俳優さんでしたが、Twitter仲間で
 京劇に詳しい中国朋友が教えてくれました。     
   
 YouTubeの短い動画で見ただけなのですが、その妖艶な演技と舞台を降りて
 普通の男の子に戻った時のちょっとはにかんだ表情が可愛いくて、ずっと
 どんな子か知りたいなあと思っていました。

       

彼はなかなかの苦労人で両親は彼が8歳の時に離婚、母方の祖母に育てられます。
この祖母が京劇役者だったこともあり、しばしば祖母に伴われて祖母の職場である劇団へ遊びに行きました。そこで劇団員の稽古の様子をつぶさに見、自然に京劇を志すようになります。
       
1996年に甘粛省こども京劇団(甘肃省少儿京剧培训班”)が発足、首位の成績で入団しますが、残念な事にこの劇団は二年で閉鎖します。
その後は京劇の先生もいない中、テープやディスク、京劇の書籍などを使って14年間独学に励みます。

   


そんななか、チャンスが訪れます。「第一回平和杯 京劇アマチュアコンテスト」(首届小和平杯京剧票友邀请赛)が開かれることとなり、これに応募。
甘粛省での代表選手になり、みごと第二位の座を獲得することができました。


    


その後は念願かない、北京の京劇の名門校「北京戯曲芸術職業学院」で学ぶことができました。このyoutubeは在学中の時のようです。


     

今年30歳かな? 今はどこかの劇団に所属してるのかしら。それとも票友(アマチュア)のままで活動しているのか。


この「北京戯曲学院」に入れるまでの18~22歳の間の心の葛藤もたいへんだったろうし、
家庭環境もなかなか厳しいものだったようです。
そういう背景を背負っていたから、きっとこの子に惹かれたのかなあ。

  

 
 努力が実るって素晴らしい✨


 今年も色々がんばります^^



民國の名媛 ~梅蘭芳の愛人・孟小冬~

    

              孟小冬  

孟小冬は当時、大変な人気のある京劇役者でした。

しかも専門は男役(老生ラオションという中年男性で歌声がメインの役)
       

          諸葛孔明に扮する孟小冬

梅蘭芳と孟小冬、二人の出会いは舞台共演がきっかけだと言われています。
孟小冬が18才、梅蘭芳が31才の時でした。
次第に親密な関係に発展し、梅蘭芳はごく簡単な式をあげ、小冬との屋敷を構えます。 

      


しかし当時彼にはすでに妻が二人もいました!
先に結婚した一人目の妻との間の子供が早世し、周囲のすすめに従って(跡継ぎをもうける為)二人目の妻も迎えていたのです(中華民国時代はまだ一夫多妻)


     

        一人目の妻(王明華)



    

       二人目の妻(福芝芳) 気ぃ強そう・・



そんな状況に第二夫人(実質正妻)の福芝芳は面白いはずもない。
梅の伯母の葬儀に際し、弔問に訪れた小冬を第一夫人のとりなしも聞かず追い返し、、、
小冬は梅氏の態度にも失望したのでしょう。彼のもとを去ります。
      
その後は彼女にかねてから思いをよせていた杜月笙と一緒になり、
彼の五番目の夫人に収まります。

       


のちに終の棲家を台湾に移し、1977年に台北で没します。70才でした。


梅蘭芳の愛人ということで広く知られていたので、北京では暮らしにくかったのかもしれませんが、その後の中国の激動の歴史を思うと台湾に移ってかえって良かったんじゃ…と思います。
             綺麗な人

      
       服装センスもいい♪


映画「花の生涯~梅蘭芳」ではチャン・ツィイーが彼女を演じました。     



満州貴族の王敏彤とも親交があった小冬。
彼女と一緒に撮影した写真も残っています(添付の記事も見てね)

   


貴族のみ着用が許される豪華な髪飾りと旗袍(チーパオ)を身に着け、少しぎこちないが嬉しそうな表情をしている。
       
    

民國の名媛~王敏彤~

ほぼ一年間、放置状態だったブログ。最近は習い事に忙しく、じっくり書く時間もなくて。
今年は世界情勢がまさかの展開でした。。
でもこうしてblogを書けるのは幸せなことだ思います。 
今使っているwifiを年末でいったん解約するので、暫くはパソコンが使えなくなります。
それでいつかblogに載せようと思っていたことを駆け足で綴ります。


      

写真を見てすっかり虜になってしまったこの可憐な女性は王敏彤(wang mindan ワン・ミンタン)(1913年一2003年)という満州貴族の女性です。


彼女の生母はなんと乾隆帝から直系五代目の子孫にあたるという高貴な家柄の出。
そして敏彤はラストエンペラー溥儀の皇后・婉容の従妹でもあります。


皇后婉容も美しいのですが、私は敏彤が持つ清楚な美しさ、気品、写真でも窺いしれることのできる優しい人柄、誠意、内に秘めた情熱や意思の強さを感じました。
(彼女の事をもっと知りたいと思いつつ、日本では書籍がないので資料はもっぱら
 中国のネット記事のみ)


       

こちらの写真で彼女と一緒に写っているのはかの梅蘭芳の愛人だった孟小冬(右側・椅子に座っている)だそう。
親しく交流があったという二人。仲良くなるきっかけはなんだったのか。


孟小冬は京劇役者だったので、彼女のお芝居を見て紹介されたのだろうか?
当時、裕福なお屋敷に出向いて芝居をすることはよく行われており、また二人の家も近かったそうです(東四三条胡同)


二人が仲の良かった証拠として敏彤の衣装をそっくりそのまま(髪飾りまで)
孟小冬も着用してます。(*一枚目の敏彤と二枚目の孟小冬の衣装に注目) 
きっと着せてあげたのでしょうね。これは貴族だけに許された服装ですから。


      

そしてまた敏彤が京劇扮装している写真もあるのですが(可愛い><!)、
これはきっと小冬が彼女に着せ、ついでにポージング指導もしてあげたのではないか。。
と推察します。 


 

幼いころの敏彤  すぐ隣が溥儀の側室文绣と一人おいて皇后婉容 THE・上流階級
   

      

    楚々とした儚げな雰囲気がまるで大正時代の抒情画のヒロインみたい。

                         

  こんな可愛らしい女性ですが、良縁がたくさんあったにもかかわらず生涯を
  独り身で過ごされました。


     

溥儀に片思いしていたという話もありますが、、溥儀の側は特に彼女に興味はなく、
実りませんでした。


      

  中年のころ 名家の大格格(dagege=長女 ターグーグー)として家族を見守った


でも同世代の満州族のお姫様たちがたどった運命を思うと幸せだったのではないかとかえって思います。厳しい時代を生き抜かれました。

    

        晩年


最後は近所のお世話する方が老人ホームへ入居させてから1週間ほどでお亡くなりになったそうです。 2003年に90才で天寿を全うされました。
   
       私が北京にいた頃にまだご健在だったと思うと感慨深い。    

       


・・・姿見の縁取りの装飾とかすべてにおいて美しい時代だなあ